2009年9月16日水曜日

映画「おいしいコーヒーの真実」

昨日、子供連れの奥様がご来店になり、
「おいしいコーヒーの真実」というドキュメンタリー映画
をビデオにわざわざダビングして持ってきて下さった。
WOWOWで放映されたとのこと。

今週の金曜と来月初めに再放映されるようなので、
そのご案内もかねて。

ここ名古屋では、昨年8月に今池にある
名古屋シネマテークで上映された。

当店にお越しの皆様には、公開当時、
店先でご案内したので、ご存知の方も多いハズ。
当店が毎月発行している「うま珈通信41号」にも
書いたけど、改めて考えてみた。


これを見るとコーヒーに対する見方が変わるかも
 コーヒーはとても手がかかる農作物で・・・
 まちにあふれているコーヒーの数々・・・
   缶コーヒー、インスタント、ファーストフードの・・・
 が実はこんなに安いのはありえないこと・・・
など


この映画は、
普段気軽に飲んでいる1杯の裏側に隠されている
“コーヒーのもうひとつの顔”を伝えてくれている。

コーヒー発祥の地エチオピアで
貧困にあえぎながらコーヒーを作る人々と、
そんな彼ら生産者に正当な報酬が還元されることなく、
コーヒーの価格は、
大企業に大きな利益をもたらすために決定されていく。

スクリーンでは「生産国」と「消費国」の風景が
淡々と切り替わるが、その落差があまりにも激しい。



<この映画を観て感じたこと>
「コーヒーを提供する側」と「コーヒーを消費する側」の
両方の立場から考えてみた。


★コーヒーを提供する立場から考えると…
ボクたちは、コーヒーを日常生活に欠かせないものとして飲んでいる。

コーヒーは
 世界で最も多くの国で飲用されている嗜好飲料
 全世界で一日に消費される量は約20億杯
と言われている。

それがどのような人々の手で作られ、
どのような道をたどって
自宅やカフェのテーブルに届いているのか、
あまりにも知られていない。
まずは知ることが最初の一歩だ!

微力ながら、当店もその道先案内人の一人として
お役に立てればと思っている。


金融危機ですっかり忘れ去られたかのような
食品偽装の問題然りだが、
単純には言えないけど、

価格優先の価値観から少し距離を置くべき 
 と考えている。

⇒よいもの・・・コーヒーの生豆・・・を適正なルートと
   価格で仕入れ、それにみあった価格で販売する。

“よいものを提供し、それにみあったお金を頂く”
 と言うスタンスだ。




★コーヒーを消費する立場から考えると…

コーヒーを取り巻く現実はと言うと、
品質に対する意識がマーケットの中で育っていない
ので、価格優先になっている。

その多くの原因は、コーヒーを提供する側に
問題があると思う。
ファミレス、ファーストフード、巷の喫茶店、レストラン、
ホテル・・・のコーヒーは全てそうだ。

ボクは、まちの至るところで、
いつも”虐げられたコーヒーたち”に出会う。
 なら飲むな!と言われそうだが、
 分かっちゃいるが飲まずにはいられないから厄介だ。

コーヒーを愛するボクにとって、
まじめに取り組んでつくられていないコーヒー(*)
遭遇することほど悲しいことはない。

コーヒー色をした”変わり果てた液体”をすすりながら、
 「農家の人達が丹念に育て、
   遠路はるばるやってきたのに、
    こんな姿に成り果ててしまって」

生産農家の方々の血と汗と涙は報われないまま・・・。


(*)コーヒーに真摯に向き合う=まじめに取り組む
 コーヒーの木からとれる種がコーヒー(生)豆。
 その自然の恵みに襟を正し、ちゃんと向き合う。
 生豆を
    、  ”普通に”焙煎し、
   飲む時に”普通に”粉砕し、
   飲む時に”普通に”抽出する。
 たったこれだけだ。
 それが多くの場合、なされていないのが現実だ。



⇒「とにかく安いコーヒーが飲めれば何でもいい」という
 価値観から少し離れてみる。

⇒コーヒーの生産に携わる農家の人々の生活を想像し、それが少しでも向上するのを願いつつ、
 まともな(適正な)対価を支払うという価値観にシフトしてみる・・・

切にそう思う。



いづれにしても、当店が出来ることは、
 コーヒーに真摯に向き合い、まじめに取り組むこと
 美味しいコーヒーを皆さんに提供し、満足して頂くこと
これに尽きる!!


そして、皆さんにお願いしたいのは、
  おいしいコーヒーを飲む
  不味いコーヒーは飲まない
  異常に安いコーヒーは飲まない
ことです。
そうすることは、良質なコーヒー豆を生産する農家の方々を経済的にサポートすることにつながると思うから。



『おいしいコーヒーの真実』・・・
アメリカ発の金融危機で、
資本主義のあり方が問われている昨今、
コーヒーという別の切り口から、
現在の資本主義のありかたを考える機会として、
コーヒーを愛する方にも、そうでない方にも、
ぜひご覧いただきたい。そんなドキュメンタリーだ。